長念寺(最上三十三観音第16番札所)

山形県寒河江さがえ市にある最上三十三観音第16番札所の長岡山長念寺(長岡観音)は、東北でも珍しい五智如来(釈迦如来・宝生ほうしょう如来・大日如来・阿閦あしゅく如来・阿弥陀如来)を安置しています。また、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する大江氏ゆかりの寺院でもあります。

長念寺五智如来(「やまがたへの旅 山形県公式観光サイト」より)

長岡観音は、貞観年間(859~877年)に弘法大師空海の高弟真済僧正が寒河江中心部の長岡山頂上に十一面観音菩薩を安置したことに始まると伝わります。

この観音像は、鎌倉時代には寒河江初代城主大江親広(大江広元の長男)が鎮城守護仏とし黒印を拝領し、以後18代にわたり厚く崇拝したとされます。

室町時代には最上三十三観音の霊場となり、慶応3(1867)年に長岡山にあった観音堂が寒河江・柴橋代官所の統合庁舎建設に伴い別当寺の長念寺に移されます。

長念寺は寒河江城址三の丸地内にあり、鎌倉時代中期に寒河江初代城主大江親広により祈願所として建立されました。大江氏は惣持寺という末寺約40ヶ寺を持つ中本山の寺格の広大な寺院を創建し、長念寺はその末寺筆頭として室町から江戸時代まで知事役(寺院の雑事や庶務をつかさどる役職)を務めていたそうです。

明治時代に入り、明治政府の神仏分離令、廃仏毀釈などにより、惣持寺は廃寺となり、貴重な仏像(東北有数の五智如来・山形県内有数の不動明王等)・仏具(国内有数の大きさを持つ護摩壇等)の大部分が長念寺に譲渡され、長念寺は大正時代・戦前と隆盛を極めました。

長念寺へは細い道路を通るため、運転に不慣れな方は注意してください。

駐車場は長念寺入口正面にあります。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する大江広元ゆかりの地ということで、「鎌倉殿の13人」の幟がありました。

長念寺の参道を入ってすぐ左手には、寒河江城主歴代の墓碑があります。

寒河江市は鎌倉時代には寒河江荘と呼ばれ、鎌倉幕府の御家人の大江親広(大江広元の長男)が地頭となって以降、天正12(1584)年に最上義光もがみよしあきにより滅ぼされるまでの約400年に渡り、大江氏(南北朝時代以降は寒河江氏を名乗る)が領主として君臨していました。

歴代寒河江城主の墓碑

観音堂には、東北地方でも有数の五智如来をはじめ、たくさんの仏像が安置されています。

御朱印は最上三十三観音霊場の御朱印(十一面観音菩薩)のほか、長念寺ご本尊の不動明王と山形十三仏の阿閦如来の御朱印の3種類がいただけます。今回は最上三十三観音巡礼のため、十一面観音菩薩の御朱印をいただきました。

御朱印(左)とお姿(右)

他の最上三十三観音札所については、こちら

長念寺さんのホームページはこちら

【所在地】山形県寒河江市丸内2丁目4-19

【御詠歌】ちちははの めぐみもふかき ながおかの ほとけのちかひ たのもしきかな

【宗派】真言宗

【本尊】十一面観音菩薩

【駐車場】あり(駐車場までの道が狭いので注意)