耕龍寺(最上三十三観音第番6札所)

最上三十三観音第6番札所の清水山耕龍寺しみずさんこうりゅうじ(平清水観音)は、山形県山形市平清水にある曹洞宗寺院です。平清水は平清水焼という焼物で知られる「焼きものの里」でもあります。

寺伝によると、後冷泉天皇の頃(1045~68)、前九年合戦で源頼義が安倍一族と戦った際に京都の清水観音に戦勝を祈願したところ願いが叶ったため、京都の音羽の滝に似た平清水に、京都清水寺から十一面観音を勧請して安置したことに始まるといいます。

山門

耕龍寺山門の後ろに見える山が千歳山ちとせやま(標高476m)で、全山が松に覆われ、なだらかな曲線の美しい山容は、平安時代から名勝地として知られていたそうです。また、千歳山には「阿古耶の松」という松があり、2通りの阿古耶姫の伝説が伝えられています。

①美貌の阿古耶姫が成人し、ある夜訪れた男と夫婦の契を結んだが、その若者はこの山の松の精であることがわかる。やがて松の木は切り倒され、悲恋の姫は「せめて私を山にうずめ、頂上に松を植えてほしい」と遺言し、はかなくこの世を去るという説。

②藤原豊成の二女阿古耶姫は、父に関連した事件で難を避けるため、家臣の故郷平清水の里に隠れ住んだが、美しい姫は成人間もなく病死し、遺言により千歳山の山頂に埋葬され、墓標がわりに松が植えられたという説。

平幡良雄『最上-観音巡礼-』(満願寺教化部、2008)
本堂

観音堂へは、本堂左手から向かいます。観音堂入口には鳥居が建てられており、墓地のなかを進んでいきます。墓地のなかに鳥居というのが興味深いです。

観音堂入口

墓地のなかを進み、石段を登ると観音堂に着きます。

観音堂

観音堂左手には山形百八地蔵のうちの1体が祀られています。他にも、観音堂の周りには石仏や石碑があります。

観音堂脇には、先ほどの阿古耶姫にまつわる石硯がありました。

阿古耶姫にまつわる石硯

御朱印は本堂右手の庫裏でいただきます。

御朱印(左)とお姿(右)

他の最上三十三観音札所については、こちら

【所在地】山形県山形市平清水95

【御詠歌】ひがしやま ながれはおなじ ひらしみず むすぶこころは すずしかるらん

【宗派】曹洞宗

【本尊】十一面観音菩薩

【駐車場】あり