観音寺(最上三十三観音第10番札所)

最上三十三観音第10番札所である水岸山観音寺(上ノ山観音)は、山形県上山市十日町にあります。上山城に近く、境内からは上山城を臨むことができます。

天仁2(1109)年に道寂和尚により開山され、ご本尊である聖観世音は行基作とされ、小野篁おののたかむらの守り本尊だったと伝わります。

小野篁は平安時代初期の官僚で、武芸にも秀で、また学者・詩人・歌人としても知られています。また、昼は朝廷に出仕し、夜は六道珍皇寺の井戸から地獄へ行き、閻魔王宮の役人として閻魔庁につとめていたという伝説が残る人物です。

話を戻します。元々、寺のある山麗一帯は湖だったそうで、特に水が深いところを「鏡が淵」といい、水辺に位置していたことから山号を「水岸山」としたといいます。

寺伝によると、小野篁がこの地を訪れた際、懐中に抱いていた観音像を誤って淵の中へ落としてしまいます。部下がくまなく探したものの発見できず、京都へ戻りますが、後日地元の漁師の網に観音像がかかり、有縁の地としてこの地にそのまま祀られることになったと伝わります。

文政8(1825)年には火災により本堂が焼失してしまいますが、本尊は無事で、弘化4(1847)年に領主松平氏の援助と信者の寄進により再建され、明治維新まで保護されました。

上山は城下町のため、道幅は狭く入り組んでいます。参道入口の近くには共同浴場があり、道路を挟んで向かい側にある十日町振興協同組合駐車場に停めます。

境内は小規模ですが、お堂の屋根にご注目。

屋根には般若と獅子がいます(お恥ずかしながら、帰りに住職さんから教えていただくまで気づきませんでした…。)。

御朱印は本堂右手にある庫裏でいただきます。非常に親切な住職様で、12番札所(長谷堂観音)への経路が分かりづらいからと丁寧に道を教えていただきました。

御朱印(左)とお姿(右)

最上三十三観音札所を巡っていると人の親切に触れることが多く、優しい気持ちになれます。札所巡りの醍醐味ですね。

他の最上三十三観音札所については、こちら

【所在地】山形県上山市十日町9-29

【御詠歌】のをもすぎ さとをもゆきて かみのやま てらへまゐるも のちのよのため

【宗派】真言宗

【本尊】聖観世音菩薩

【駐車場】あり(観音寺そばの上山十日町振興共同組合駐車場)