吉祥院(最上三十三観音第3番札所)

最上三十三観音第3番札所の守国山吉祥院しゅこくさんきちじょういんは、山形県山形市にあります。

天平9(737)年、出羽国にひどい悪病が流行した際、聖武天皇から悪病の消除と庶民の救済の命を受けた行基により開山されたと伝えられています(『続日本後紀』承和4(837)年6月6日条に、出羽守小野宗成が出羽国最上郡に済苦院という寺院を建立した記事があり、この済苦院を吉祥院とする説もあるようです。)。

行基は、自ら仏像を安置し一心に祈願したところ、悪疫が終息したと伝えられ、以来吉祥院は、鎮護国家の道場として天下泰平、国土安泰、怨敵退散、病魔降伏、諸願成就の祈願所として広く知れわたりました。

本尊は、千手観音、脇立の薬師如来、阿弥陀如来と合わせた三尊からなります。古来、千手観音とはこの三尊の総称であると言い伝えられ、「出羽一仏」と呼ばれて信仰されてきました。

こちらが本堂です。本堂裏手には、秘仏が祀られる奥の院があります。参拝時には、奥の院の扉が少し開いており、秘仏本尊のご尊顔を拝むことができます。

吉祥院では、奥の院を毎年8月10日の祭礼に合わせて特別御開帳しているようで、それ以外の日でも事前申し込みを行えば、拝観ができるようです。

奥之院のなかにある宮殿くうでん(入母屋造・柿葺)は、慶長年間(1596〜1615年)に当地を治めていた最上義光が奉納したものと伝えられ、その厨子の中央に千手観音菩薩像、右に菩薩立像(伝薬師如来像)、左に菩薩立像(伝阿弥陀如来像)の三躰が祀られ、厨子の手前の右奥から天部立像(伝勢至菩薩)、吉祥天、天部立像(伝毘沙門天)、子安観音像の四躰が安置されています。

奥の院に祀られる仏像については、吉祥院さんのホームページで見ることができます(吉祥院のホームページはこちら。)。

境内には複数見どころがあり、本堂向かって左手には、石碑や石仏を集めて曼荼羅を表現した抜苦殿という区画があります。

また、境内には室町時代のものと思われる板碑が複数基あります。風化が激しく、梵字くらいしか読み取ることができませんでした。

他にも、吉祥院の周辺は、古墳が多数ある地域だそうで、付近の古墳から発掘された石棺が展示されていました。

御朱印は寺務所でいただきます。

御朱印(左)とお姿(右)

他の最上三十三観音札所については、こちら

【所在地】山形県山形市千手堂509

【御詠歌】はなをみて いまやたをらん せんじゅどう にはのちぐさも さかりなるらん

【宗派】天台宗

【本尊】千手観世音菩薩

【駐車場】あり