舎那山長谷寺(宮城県石巻市)
宮城県石巻市真野にある曹洞宗舎那山長谷寺(しゃなさんちょうこくじ)は、牡鹿三十三観音第33番札所の古刹です。
創建の由来と観音堂
寺伝によると、大同3(808)年に天台宗の修行場として創建されたと伝わります。山号は源義経の幼名「遮那王」に由来するそうです。
文治5(1189)年に奥州藤原氏が滅亡すると、長谷寺も一時廃寺になりますが、天正年間(1573~1591)に梅渓寺八世住職により曹洞宗の寺院として再興され現在に至ります。
境内にある観音堂の本尊である十一面観音菩薩は、鎌倉~室町時代前期の作と推定され、藤原秀衡(奥州藤原氏三代)により安置されたと伝わっています。
観音堂内には、本尊のほかに不動明王・毘沙門天などが祀られています。
仁王門と境内
山門の脇に駐車できるスペースがあります。
山門前には大量の板碑があります。境内には、鎌倉時代から安土桃山時代のものと推定される板碑がおよそ70基余りあるとのこと。
長谷寺には、山門とは別に観音堂への参道もあります。こちらにも石碑がたくさん。
観音堂の参道をのぼっていくと、仁王門が見えてきます。
こちらの仁王門に安置されている仁王像は、江戸時代に製作されたもので、石巻地方で最も古い仁王像といわれています。
仁王門をくぐってすぐのところにも板碑がありました。他にも倒れているものや埋没しているものもありました。
石碑を横目にまた石段を上っていくと観音堂に着きます。観音堂は約420年前に建てられたそうです。
観音堂横にもたくさんの石碑があります。こちらの石碑は、江戸時代中頃に建てられたものが多く見受けられました。
観音堂の裏手にある坂道を進むと、本堂に出ます。
長谷寺は、秋には境内のあちこちに彼岸花が咲くようで、私が参拝した日にも彼岸花を見にきている方が何組かいらっしゃいました。
歌枕の地「真野の萱原」
長谷寺がある真野は、「真野の萱原」と呼ばれ、古くから歌枕の地として知られていたそうです。
松尾芭蕉の『奥の細道』のなかにも「尾ぶちの牧、まのの萱原などよそめにみて」と記されています。
山門付近の池に、葦(あし)が生えており、この葦は、「片葉のあし」と呼ばれ、立秋のころになると葉が東南(京都)の方角に向くそうです。また、この葦は安産のお守りとされているようです。
【所在地】宮城県石巻市真野萱原2
【御朱印】あり
【駐車場】あり