藤島八色木薬師堂~鳥海山を背にして建つ神仏習合の御堂~

山形県鶴岡市八色木にある藤島八色木薬師堂は、鳥海山の神(大物忌神)を仏の姿(薬師如来)として祀る神仏習合の御堂で、近在の人々が遠くの鳥海山をお参りするための場所です。

令和4年が寅年の御縁年に当たり、それを記念し、薬師堂建立336年目にして本尊薬師如来の初の一般開帳が行われるとのことで、早速参拝してきました(令和4年10月17日まで、毎月8、12、17日に御開帳。詳細はこちら。)。

薬師堂近くの八栄島公民館に車を停め、5分ほど歩くと薬師堂に着きます。道中はところどころに看板が設置され、参拝者にとても親切です。

薬師堂入口

八色木薬師堂は、貞享3(1686)年に建立された宝形造りの御堂で、まっすぐ鳥海山を背にして建っています。御堂は12年に一度御開帳されるそうです。

建立の由緒としては、延宝5(1677)年に落野目村(現在の鶴岡市豊栄)の水田から一寸八分の薬師尊像が見つかり、地主の日向氏により祀られていましたが、「自分は元々八色木の海藤家に祀られるため現れた」とお告げがあり、貞享3(1686)年に海藤氏により御堂が建立されたと伝わります。このときの薬師尊像が、現在御内仏として祀られています。

なお、現在、八色木薬師堂は羽黒山荒澤寺正善院の飛び地境内となっています。

八色木薬師堂

堂内の内陣中央には、御本尊である医薬を司る仏である薬師如来が祀られています。正式には「薬師瑠璃光如来」という名前で、像高は2尺7寸7分とされており、これまで御開帳されていなかったせいか、金箔もしっかり残っています。素人目では江戸期の作のように思えました。

通常、薬師如来の左右には日光・月光菩薩が祀られますが、八色木薬師堂には残っておらず、鳥海山の御神木(松)で表しています。また、その左右には、各々12の時間と方角を護衛する十二神将が祀られています。いずれも小さな仏像ですが、なかなか精巧な作りでした。

堂内向かって右手には、古代中国の「医薬の祖」とされる人物である神農尊しんのうそんが祀られています。

神農尊は、身辺の植物の効能を知るため自ら草の根・木の皮をなめ、何度も毒を受けながら薬草の力で回復したといわれ、八色木薬師堂においては、薬師如来の分身として祀られているそうです。八色木薬師堂の神農尊は、達磨大師のようなお姿をしていました。

神農尊(真言宗智山派円泉寺ホームページより
達磨大師

今回の御開帳に合わせ、開堂以来初となる御朱印も用意されています。

荘内和紙・正善院所縁の小津和紙を使用した御朱印で、秘仏本尊の薬師如来・秘仏本尊前仏の神農尊・秘仏本尊守護の十二神将・秘仏本尊御神号である鳥海山大権現の計4種類が頒布されています。

私は秘仏本尊の御朱印をいただきました。

本尊薬師如来御朱印(500円)

【所在地】山形県鶴岡市八色木

【拝観料】500円

【駐車場】あり(近くの八栄島公民館に停める)

寺院

Posted by きだ