賀茂小鋭神社
今回は、宮城県石巻市福地にある賀茂小鋭神社(かもおとのじんじゃ)です。
『延喜式』神名帳にその名がある延喜式内社で、桃生郡六座のひとつに数えられる古社です。
『延喜式』神名帳には「小鋭神社」と記されており、後に京都の賀茂別雷神社(上賀茂神社)から分霊を合祀し(年代不詳)、「賀茂小鋭神社」となりました。
祭神には、小田神、賀茂別雷命、玉依姫命、賀茂建角見命を祀っています。賀茂別雷命、玉依姫命、賀茂建角見命はいずれも賀茂別雷神社にゆかりの神々であり、元々は小田神を祭神としていたと推測されます。
上の写真で白い車が停まっているあたりが駐車場になります。
参道には樹齢数百年と思しき立派な木がありました。
参道を5分ほど進むと拝殿に着きます。拝殿途中には境内社や神輿殿があります。
こちらが拝殿です。
賀茂小鋭神社の奥の院には7躰の神像が安置されており、そのうち5躰が宮城県指定有形文化財になっています(非公開)。神像は、賀茂建角見命・賀茂別雷命・随神と考えられ、いずれも冠・狩衣・指貫をつけ、浅沓を履き、笏をもった立像で、顔は怒りの表情をしています。
一番大きい像は50㎝程度あり、カヤ材の一木造りで、鎌倉時代初期の作と推定されています。
戦前まで、この神像は秘仏であり、見ると目がつぶれると伝わっていました。戦後、宮城県指定有形文化財の指定を受ける際に調査のため初めて御開帳されますが、このとき立ち会った地元の古老たちが、神像を納めた奥の院の扉を開ける際に逃げ出してしまい、調査団の人たちだけが残されたというエピソードが伝わっています。それほど地元の人々からの信仰が篤い神社だったようです。
また、この神社は石祠があちこちに祀られていたのが印象的でした。何の神様を祀っているのかはわかりませんでしたが、とても丁寧にお祀りされていました。
参拝の帰り際、舗装された参道から外れ、散策していると、お墓を見つけました。
墓碑には「法印」と刻まれたものがあり、賀茂小鋭神社宮司家のお墓のようです。江戸時代中頃から明治初期にかけてのお墓のようでした。
【所在地】宮城県石巻市福地賀茂崎72
【御朱印】なし
【駐車場】あり