安久津八幡神社
今回は、山形県高畠町にある安久津八幡神社(あくつはちまんじんじゃ)です。
神社は、宮城県七ヶ宿町から高畠町へぬける国道113号線沿いにあり、三重塔が目を引きます。
貞観2(860)年に慈覚大師円仁の発願により、阿弥陀堂が建立され、その後、前九年合戦で安倍一族を滅ぼした源義家が、鎌倉の鶴岡八幡宮を勧請したことに始まると伝えられています。
神社は、神社のある置賜地方を支配した長井氏、伊達氏の時代には「東八幡宮」と呼ばれ、最も栄えたと伝わります。境内には、別当神宮寺、学頭金蔵院、衆徒頭千殊院をはじめ12坊があったようです。
車は鳥居の前に停めることができます。
鳥居をくぐってすぐ左手に、三重塔があります。明治の神仏分離令により境内の寺院が廃絶し、その後の火災などで寺院の建物が焼失し、三重塔のみが残りました。方三間(約5.4m)、銅板葺で、置賜地方唯一の層塔で、寛政9(1797)年に建てられたものです。
参拝した日はこどもの日が近かったので、こいのぼりが泳いでいました。
三重塔を過ぎると、舞楽殿があります。
舞楽殿を過ぎ、少し歩くと狛犬が出迎えてくれます。高畠町で採れる高畠石(凝灰岩)で作られた狛犬です。だいぶ風化していますが、それがまた良い味を出しています。
こちらが拝殿です。安久津八幡神社の社殿は、幾度も焼失し、その度に再建されてきたようで、現在の社殿は、寛保3(1743)年に焼失し、宝暦5(1755)年に再建されたものです。
拝殿の横から本殿へ回り込むことができます。
本殿は、三間社流造、茅葺、軒組は和様平三斗(わようひらみつと)と呼ばれる造りです。棟の両端には鬼板があげられ、屋根が半円形に張り出す形状をしており、山形県内の江戸時代を代表する建物として、山形県指定有形文化財となっています。
もともと本殿は、背後の八幡山の中腹に近いところにあり、現本殿の背後に参道やその両脇の堀、旧本殿などの跡を見ることができるそうです。
拝殿脇には合祀されたであろう石祠があります。
境内にある岩駒稲荷の横には磨崖仏がありました。残念ながら風化が激しいため、よく表情はわかりませんでした。
余談ですが、高畠町には「犬の宮」と「猫の宮」という、犬と猫を祀った珍しいお社があります。また、日本三文殊の一つに数えられる亀岡文殊(大聖寺)があるなど、見どころの多い町です。いずれも、以前当ブログでご紹介していますので、興味がありましたらご覧ください。
【所在地】山形県東置賜郡高畠町安久津2011
【御朱印】不明
【駐車場】あり