犬の宮・猫の宮
山形県高畠町に、犬と猫を祀ったお社があります。その名も「犬の宮」と「猫の宮」です(そのまんまですね。)。
たまたまGoogleマップで見つけて気になったので行ってみました。実際に行ってみると、どちらも非常に古い歴史をもつお社でした。
犬の宮
犬の宮の創建は和銅年間(708~714)に遡ります。ちょうど和同開珎が発行されたり、都が平城京に遷都された頃です。
当時、この地(高安村)に都の役人になりすまして村人から年貢をとりたてる古狸たちがいました。
困った村人たちは旅の座頭から授けられた策を用い、役人を酒席に招き甲斐国(現在の山梨県)から借りてきた2匹の犬を放ちます。狸たちとの激しい戦いの末、狸たちは2匹の犬によって退治されますが、戦いで傷ついた犬たちも死んでしまいます。
その後、「村の大難を救ったこの犬を村の鎮守とせよ」という座頭のお告げにより、2匹の犬を崇め祀ったものが犬の宮の由来とされているそうです。
立派な愛染明王碑がお出迎えしてくれます。
参道は思ったより長いです。
参道の途中には、板碑と思われる石碑があります。この石碑は高畠石(高畠町は石材の産地でもある)を用いて作られていますが、風化が激しくて梵字らしきものがうっすら確認できる状態でした。
しばらく行くとお社に到着。社の扉には愛犬家の方たちが奉納した犬の写真がたくさん貼られていました。
社の裏側にはたくさんの石碑・石祠がありました。
犬の宮というだけあり、狛犬もしっかり犬でした。
ちなみに、高畠町(高安村)にはかつて高安犬という優秀な狩猟犬が生息していたそうです。
犬の宮の参拝を終え、猫の宮へ向かいます。
途中、「たこ杉」と呼ばれる大杉がありました。付近には板碑らしき石碑もあります。
【所在地】山形県東置賜郡高畠町高安
【駐車場】あり(猫の宮と共通)
猫の宮
犬の宮の参拝後、猫の宮へ向かいます。先ほどの「たこ杉」からすぐのところに猫の宮があります。
猫の宮の創建は、延暦年間(782~806)に遡ります。延暦年間は桓武天皇により都が平城京から平安京に遷都したり、東北地方においては朝廷軍による征夷が盛んに行われていました。
和銅年間に2匹の犬により退治された古狸たちの怨念が、およそ70年後の延暦年間に大蛇になって現れます。村の信心深い夫婦が飼っていた観音様の化身である猫は、夫婦を守るために大蛇を倒しますが、猫も死んでしまいます。
その後、猫を飼っていた夫婦は猫をねんごろに葬り、観音堂を建て供養を行い、このとき建立された観音堂が猫の宮となります。
鳥居と石碑がたくさんあります。
犬の宮と同様、猫の写真がたくさん貼ってあります。
猫の宮という名称と鳥居から、てっきり神社かと思っていましたが、こちらはしっかり「観世音」という扁額が掲げられていました。
令和3年10月現在、御朱印等はないようです。
【所在地】山形県東置賜郡高畠町高安910
【駐車場】あり(犬の宮と共通)