白水阿弥陀堂~国宝阿弥陀堂と平安仏~

2021年6月19日

白水の地へ

「仏像が見たい。白水行こう。」

暖冬で雪が少ないのを良いことに福島県いわき市へ車を走らせた。令和2年2月1日のことである。

白水阿弥陀堂は、永暦元(1160)年に鎮守府将軍藤原清衡の娘(一説には藤原秀衡(清衡の孫)の妹とも)であった徳姫(岩城(いわき)の国守岩城太夫則道の夫人)が、この白水の地に願成寺を建立し、智徳上人を住持としたことにはじまる。

徳姫は則道の死後、智徳上人に帰依し、出家して徳尼御前とよばれ、夫の冥福を祈って阿弥陀堂を創立した。これが白水阿弥陀堂である。また、仏堂の前には広大な浄土庭園が造営された。

なお、「白水」の地名は、徳姫の故郷である奥州平泉(岩手県平泉町)の「泉」を分字して「白水」と名付けたと伝わる。

国宝の阿弥陀堂と極楽浄土の庭園

白水阿弥陀堂の駐車場に到着。広い駐車場でとりあえず空いているところに停めた。

すると、車の窓をトントンとノックされた。(ここ止めちゃだめだった…?)心配性な私の心配を裏切る素敵なプレゼント、「いわき市観光マップ」をいただいた。観光案内所のおば様、ありがとうございます。

余談だが、「いわき市観光マップ」を読んで、行ってみたいところがかなり増えた。また来ようと思う。

さて、話を戻そう。車から降りて白水阿弥陀堂へ向かう。

赤い橋の向こうに阿弥陀堂が見えた。赤い橋を渡ろうとしたとき、素敵な光景が橋の両脇から覗いていた。

なかなか写真では伝わりにくいが、浄土庭園が西日に輝きとても美しかった。この浄土庭園は国指定史跡になっている。

拝観終了時刻まで残り40分というタイミングだったので、人もまばらだったことも美しさに拍車をかけたのかもしれない。とても心が安らいだ。

池の景色にうっとりしていたが、拝観終了時刻が近づいていることを思い出し、そそくさと受付を済ませ阿弥陀堂に向かう。

日本史の資料集に載っていそうな写真(自分で言うな)が撮れた。人のまばらになる拝観終了時刻ぎりぎりを狙うのも案外ありかとも思った。

阿弥陀堂の美しさを堪能し、堂内に入る。

阿弥陀堂は国宝に指定されており、願成寺から約200mの場所にある。方三間単層宝形造(ほうさんまたんそうほうぎょうづくり)杮葺(こけらぶき)で、内陣の四天柱は十二光仏が図現されていたという。堂内周囲の壁板には全部壁画が図視されていたいたそうだが、ことごとく剥がれ落ちてしまい、わずかに残っているのみだった。

時代や文化が共通しているせいか、中尊寺金色堂の内陣との共通点も見受けられた。

平安の阿弥陀仏たち

堂内には本尊である阿弥陀如来をはじめ、観世音菩薩、勢至菩薩、持国天、多聞天(寺伝によると増長天)立像が安置されていた。

これら五体の仏像は全て国指定重要文化財である。

安置されている平安の阿弥陀仏定朝様式の柔らかで優雅な「The・仏像」という佇まい。脇侍の観世音・勢至菩薩立像も同様のつくりである。

白水阿弥陀堂が清衡の娘・徳姫により建立されたことに関係するのか、阿弥陀仏は中尊寺金色堂にある阿弥陀仏とつくりが似ているなと感じた。

持国天、多聞天(寺伝増長天)立像は寄木造で極彩色の跡が残っていた。流れるようで、それでいて力強い佇まいだった。

蝦夷と朝廷軍、その後は前九年・後三年合戦と長きに渡る戦争の後、奥州藤原氏により東北に続いた100年の平和は、京都や奈良にも劣らぬ独自の仏教文化を築いた。

およそ900年前、奥州の地に花開いた仏教文化に触れることができた気がした。

拝観の注意点と御朱印

白水阿弥陀堂を拝観するにあたっては、拝観時間と休寺日に注意する必要がある。

拝観時間(受付は終了15分前まで)
4月1日~10月末日 8:30~16:00
11月1日~3月末日 8:30~15:30

休寺日
毎月第4水曜日(12月は第2水曜日、木曜日)、山内臨時法要、暴風雨、強風、大雨、大雪の日
節分会(2月)、春彼岸中日(3月)、お盆(8月12~16日)、地蔵盆〈万灯会〉(8月24日)、秋彼岸中日(9月)、寺務納〆(12月25~31日)

と、このように割と拝観できない日があるので行く際は要注意である。

白水阿弥陀堂の付近には願成寺以外にも見どころがたくさんあるようだ。今回は時間の都合もあり行くことが叶わなかったが、折を見て行ってみようと思う。

なお、御朱印は受付の際に御朱印帳を預け、帰りに受け取る流れになる。

御朱印

願成寺(白水阿弥陀堂)さんのホームページはこちらからどうぞ。

【所在地】福島県いわき市内郷白水町広畑221

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大矢邦宣『図説 みちのく古仏紀行』(河出書房新社、1999)

藪内佐斗司『仏像風土記 北海道、東北、関東、中部』(大和書房、2016)