磯良神社~かっぱを祀る神社~

2021年6月19日

宮城県加美郡色麻町にある磯良神社(いそらじんじゃ)は、全国でもただ一つ、木彫りのかっぱをご神体とする神社です。

神社は「おかっぱさま」という名前で呼ばれ、水難よけ・縁結び・懐妊・安産・足腰の病にご神徳があるといわれています。

創建の歴史は古く、延暦22(803)年に坂上田村麻呂が常陸国鹿島郡から磯良明神を勧請して祀ったのがはじまりと伝わります。

参道入口の鳥居と駐車場

車は鳥居横の駐車場に停めます(上の写真で車が止まっているあたりです)。

鳥居をくぐり参道へ。参道脇にはいろいろな石碑がありました。

境内全景

境内はそれほど広くないので参拝しやすいです。

拝殿

拝殿前には台車に載せられた愛くるしい表情のかっぱ像がありました。子どもみこしのようです。

また、拝殿にはかっぱの絵馬が奉納されていました。

かっぱの絵馬

絵馬には楽しそうに宴会をしているかっぱが描かれていました。

境内社

拝殿横には境内社があります。

かっぱとゆかりの深い磯良神社には、かっぱ伝説が伝わっています。

あるとき、河童(かっぱ)がお姫様に一目惚れをしてしまいました。姫の気を惹きたくて、河童は毎晩館に通い生きた魚や青いキュウリを置いていきました。
しかし、姫は河童が自分に嫌がらせを していると思いこみ、気味が悪く眠れない夜を過ごしていました。このことを伝え聞いた侍が「よし、わしが河童を退治してくれよう。」と、姫の物を身につけて館で待ちかまえていました。そんなこととは知らずに、お姫さまに会いたくて館に忍びこんできた河童は、その夜に片腕をすっぽり切りおとされてしまいました。河童は「腕を返してくれ、返してくれたらお姫さまに、近よることはしませんから」と腕の痛さをこらえながら、一心に頼むのでした。
侍は、「切られた腕を返せとは?」 と不思議に思い問いただしました。すると、河童には河童膏(かっぱこう)という膏薬があり、それを塗るとどんなものでも瞬時にくっつくということでした。そこで侍は、腕と河童膏を交換しました。
この河童膏のおかげで、侍は戦で傷を負ってもすぐに治り、たくさん手柄を立てることができました。また、好き合っている恋人どうしが河童膏を塗ると、二人は決して離れることなく、めでたく結ばれるともいわれ、縁結びの薬でもあったそうです。ただし、みだりに用いるとただちにかっぱの罰があたるといわれます。

他にも、坂上田村麻呂の蝦夷征伐の際、先導をつとめた河童東右衛門(かっぱとうえもん)という男が町内の一の関に永住し、子孫は「川童」姓を名乗り、磯良神社の神職になったそうです。東右衛門の家には、神社の後ろを流れる河童川からかっぱが挨拶に来たといいます。

「伝河童棲息之地」石碑

そうした伝説が残る神社の境内には、「伝河童棲息之地」という石碑が建っています。

境内を見渡すと、かっぱの石像がたくさんあります。

かっぱの石像たち

オオサンショウウオと一緒だったり、相撲をとっていたりとなかなかユニークなかっぱたちです。

この地域では、かっぱ様にあげないうちはキュウリを食べてはいけないといって、初物キュウリは必ず川に流す風習が現在も続けられているそうです。

【住所】宮城県加美郡色麻町大字一ノ関字東苗代28

【祭神】息長帯比売命、底筒男命、中筒男命、表筒男命

【御朱印】なし

【駐車場】あり

神社

Posted by きだ